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【原作は面白い?】黒革の手帖のラストはもうホラーだったという話

興奮冷めやらぬとはこんなことでしょう。

一晩経って、その圧巻のラストを忘れることができない小説でした。

松本清張黒革の手帖

黒革の手帖(上)(新潮文庫)

黒革の手帖(上)(新潮文庫)

 

 妻が熱心に見ていたテレビドラマ版の黒革の手帳

なんとはなしに一緒に見ていると、ぐいぐいと惹きつけられていることに気がつきました。

いつしか毎週「黒革の手帳」を見るのが楽しみになっている自分。

そして、一人思うのです。

「早く先が知りたい」「このままでは誰かがネタバレしてくるはず」

「早く原作を読んだほうが良いのでは」

いても経ってもいられずにKindleで購入したのが先週の土曜の夜。

そして読み終えたのが金曜の夜。まさに昨日というわけです。

 

はじめは面食らった時代設定と言葉遣い

読みはじめて正直気になったのが主人公の元子が働くお店の呼び方。

テレビドラマでいうところの銀座のクラブですが、これが小説では「バア」という呼び名でした。

正直これだけは最後まで気になってしょうがありませんでした。

「バア」が何度も「ババア」に見えてしまったのです。

もう30年以上前の本です。

少しクビを傾げてしまうような言葉遣いがあり、読む際の障害になったのは残念でした。

この「バア」がせめて「クラブ」に直っていれば、この圧倒的な名作は北極星の如く輝く傑作になり得るのにと。

 

文章が秀逸すぎる

まるで逆のことを書くようで躊躇われるのですが、時代を感じさせない凄みのある文章が随所に顔を見せます。

「それだけに官能が獰猛に成長しそうであった」

「深い淵の一歩手前であった」

「世の中が夏の光のようにぎらぎらした色彩に輝いていた」

「砂漠で泉に出遇ったようにその水分をすすった」

なんとはない、それでも感嘆してしまうような文章の数々。

これだけもこの小説を読んだ価値がありました。

ラストはもう狂乱でホラー

ストーリーはほぼテレビドラマと同様に進行していきます。

随所にテレビドラマ独自の設定はありますが、概ね同じような流れです。

ただ、テレビドラマ版よりも主人公の元子への印象が悪く感じる描かれ方です。

ドラマはやはりなんだかんだと女優を使っているという影響がるのでしょう。

少なくとも原作の元子にはあまり美人だという印象は持てません。

 

ドラマとほぼ同様の進行ということもあり、その文体には惹かれつつも、小説としてのストーリーの凄さというものをあまり感じられることはできずに読み進めていました。

内容を知っていても読ませるのだから、やはり凄いという話しなのですが。

しかし、下巻の終盤、まさにクライマックスからは圧巻でした。

主人公元子がただただ追い詰められていく様。

読み手の心もぎゅっとくるよう描写の連続です。

可哀想とかいう第三者的な感想ではなく、ただ辛いと感じます。

 

そしてラストの展開はカオスでした。

恐らくテレビドラマではあんな狂った一幕を見せることはできないでしょう。

ほんの数ページが狂乱です。

 

更にラストのラスト。もうエピローグほどしかページは残されていない数ページ。

これが戦慄です。

これもテレビドラマではちょっとというレベルで、もうホラーでした。

あり得ない・・・。

 

読み終わった後、興奮してその面白さを伝えようとしましたが、安い感想しか出てきません。

単純にストーリーだけをとるとたいした物ではないのかもしれません。

それをあれだけ興奮させてしまうのですから、やはり松本清張です。

 

今回人生ではじめて松本清張の本を読みました。

今まで少なくない数の小説を読んで来ましたが、ラストの戦慄具合は類を見ないものでした。

(少し湊かなえの「告白」に通じることがあるかもしれません)

松本清張への扉が開けた、そんな金曜日の夜でした。

 

 

黒革の手帖(上)(新潮文庫)

黒革の手帖(上)(新潮文庫)

 

 

 

黒革の手帖(下)(新潮文庫)

黒革の手帖(下)(新潮文庫)